犬にヤギミルクをあたえても大丈夫?

【獣医師監修】犬にヤギミルクをあげて大丈夫?デメリットやメリット、注意点、おすすめ商品も紹介

「愛犬にヤギミルクをあたえて大丈夫かな」

「犬にヤギミルクを与えると何かデメリットはあるのかな」

このような疑問を持たれている飼い主さんに向けて、犬にヤギミルクをあたえるメリット、デメリットや与える際の注意点などを獣医師が解説します。

愛犬にヤギミルクをあげて大丈夫?

犬にヤギミルクをあげることは一般的には問題ありません。

ヤギミルクは犬や人の乳に近く、犬にとってヤギミルクは消化しやすい上、牛乳に比べてアレルギー反応が少ないとされています。

ヤギミルクはラクトース(乳糖)の含有量が少ないため、牛乳ではお腹を壊してしまう犬にも適しています。牛乳と同様に栄養価が高く、子犬から高齢犬まで安心してあげることができる成分です。

ただし、すべての犬が同様に反応するわけではないため、最初は少量から始めて様子を見ることが重要です。

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犬にヤギミルクを与えるデメリットは?

ヤギミルクを犬に与える際のデメリットも考慮する必要があります。

まず、牛乳同様にカロリーが高いため、過剰に与えると肥満の原因となる可能性があります。

特に運動量が少ない犬や体重管理が必要な犬には、適切な量を守ることが重要です。

また、ヤギミルクには脂肪分が含まれており、脂肪過多になると消化不良や下痢を引き起こすことがあります。

さらに、一部の犬にはアレルギー反応が出ることもあります。牛乳に比べてアレルギー反応が出るリスクは低いですが、ゼロではありません。そのため、初めて与える際には少量から始め、犬の反応を観察することが推奨されます。

最終的に、ヤギミルクを与えることが適切かどうかは、かかりつけの獣医師に相談することが最も確実です。

犬にヤギミルクを与えるメリット3つ

1.胃腸への負担が少ない

ヤギミルクは乳糖(ラクトース)の割合が低く、犬の胃腸への負担が少ないです。

乳糖がエネルギー源になる過程で、ラクターゼという酵素が必要になりますが、犬が成長するにつれてこの酵素の機能が低下します。

成犬のラクターゼは、子犬の頃に比べ約10%程度しか機能しないため、乳糖を分解する力が低下してしまうのです。

ヤギミルクの乳糖含有量は少ないので、犬に与えることで消化不良や下痢を引き起こすリスクを減少させることができます。

2.離乳期から飲める

犬にとってヤギミルクは離乳期から飲むことができ、子犬にも適した栄養源です。

母乳から固形食への移行期にヤギミルクを与えることでも栄養の補給と消化のサポートが行えます。

また、成長期の子犬には特に重要なビタミンやミネラルが豊富に含まれており、健康な成長をサポートします。

もちろん高齢犬にも安心して与えることができます。ヤギミルクは消化が良く、子犬から老犬までオールライフステージで活躍する負担の少ない飲み物です。

3.夏バテなどの食欲不振の際にも活躍

夏バテによる食欲不振の際にもヤギミルクは有効です。暑さで食欲が落ちた犬に対して、ヤギミルクは栄養補給と水分補給の両方をサポートします。

冷たくして与えることで、犬が飲みやすくなることもあります。前述したようにヤギミルクは嗜好性の高い風味を持つため、通常の水を与えるより、食いつきがよく、それに伴い食欲が戻ることもあります。

また、ヤギミルクにはエネルギー源となる成分が豊富に含まれているため、夏バテ時の体力維持にも役立ちます。

夏バテ以外でも、年齢とともに食欲が減ってきた犬にも試してみると良いでしょう。

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犬にとってのヤギミルクの効果とは?

ヤギミルクは犬にとって多くの健康効果をもたらします。

ヤギミルクにはカルシウム、ビタミンA、D、B群が含まれており、これらは骨や歯の健康、免疫力の向上、皮膚や被毛の健康維持に役立ちます。

特に成長期の子犬や老犬にとって、これらの栄養素は重要です。また、ヤギミルクには天然のプロバイオティクス(乳酸菌などの善玉菌のこと)が含まれており、腸内環境を整える効果があります。

これにより、消化吸収が改善され、全体的な健康状態が向上します。

さらに、ストレスや不安を軽減する効果も報告されています。これにより、行動の安定化やリラクゼーションにも寄与します。

犬にとって、牛乳よりヤギミルクがおすすめの理由3つ

1.消化に良い

ヤギミルクは犬にとって消化しやすい飲み物です。ヤギミルクに含まれる脂肪球が牛乳に比べて小さいことが理由の1つといえます。

脂肪球は、膵臓から分泌されるリパーゼという消化酵素によって分解されます。ヤギミルクの脂肪球は牛乳の1/6の大きさのため、迅速に分解することができ、消化がスムーズになります。

消化がスムーズということは、栄養吸収率が高く、効率よくエネルギーを摂取することができるということです。

さらに、ヤギミルクの脂肪球は小さいだけでなく、大きさにムラが少ないです。これは、風味や味わいが均質になりやすく、犬の嗜好性が高いことにも繋がります。

犬はヤギミルクを好んで飲むことが多く、その結果、必要な栄養素を効果的に摂取することが可能です。これにより、消化不良を起こしにくく、健康的な体調を維持しやすくなります。

2.アレルギーになりにくい

ヤギミルクはアレルギー反応を引き起こしにくいという特徴もあります。これは、ヤギミルクのタンパク質の主成分がβカゼインであることが大きな要因です。

牛乳にはαカゼインが多く含まれており、これがアレルギー反応を引き起こしやすい成分とされています。

一方、ヤギミルクにはβカゼインが主成分として含まれているため、犬がアレルギー反応を起こすリスクが少なくなります。

特に、食物アレルギーを持つ犬や敏感な体質の犬にとって、ヤギミルクは安全で健康的な選択肢となるでしょう。また、アレルギーを持たない犬にとってもアレルギー性が低い食材を選ぶことは大事です。

3.タウリンが豊富

ヤギミルクにはタウリンが豊富に含まれており、これは犬の健康維持に非常に役立つ成分です。タウリンは網膜や心筋、腎臓の健康をサポートし、犬の視力や心臓機能を保つのに役立ちます。

犬においては、タウリンが不足しすぎると、拡張型心筋症や不整脈といった心機能の疾患リスクが高まるという報告があります。これは、心臓の収縮、拡張にタウリンが一役買っているからです。

牛乳にはタウリンがほとんど含まれていないのに対し、ヤギミルクには人乳と同等程度、牛乳の約20倍のタウリンが含まれています。

犬は人間に比べてタウリンの合成能力が低いため、食事からの摂取が必要です。ヤギミルクを飲むことで、犬は必要なタウリンを効率よく摂取できます。

犬へのヤギミルクの与え方3つ

愛犬へのヤギミルクの与え方を3つご紹介します。

1.いつも食べるドライフードに混ぜる

いつものフードにヤギミルクの粉を混ぜる方法です。いつも食べているフードなので警戒心が薄れて、食べてくれる可能性が高まります。

また、食欲が低下している犬、子犬、シニア犬などの食欲を促したい際に与えるとより効果的です。

ヤギミルクは香りが良いので、食いつきが悪いフードに添えると、食べてくれるきっかけになるでしょう。

水分補給に重きをおく場合は、ヤギミルクを溶かしてフードと混ぜ、ふやかしてから食べるのもおすすめです。

2.水で溶かして与える

ヤギミルクの粉末を水で溶かして与えます(目安:4〜10倍に薄める)。

水分補給が目的の場合は薄く、しっかり栄養も補給させたい場合は濃くするなど、目的に応じて濃さを調整すると良いでしょう。

また「フード+おやつ+ヤギミルク」とたくさん与えすぎると、カロリー過多になってしまう可能性もあるので、食べすぎなコは水で薄めてカロリー調節してあげることが必要です。

愛犬の食いつきもみながら、お好みの濃さに調整してあげてください。

3.手作り食の材料にする

手作りのフードやおやつの材料の1つとして、ヤギミルクを取り入れるという方法もあります。

例えば、手作りの犬用プリン、犬用スープ、犬用ケーキなどにヤギミルクを使う方法があります。手作りご飯にヤギミルクの豊かな風味も加わって、食いつきがよくなるかもしれません。

おすすめのレシピは、ヤギミルクゼリー

ヤギミルク味のゼリーの素を、水に溶かして固めるだけで完成です。カロリーは低めなので、いつものご飯に手軽に取り入れたい方、健康的に食べてほしい方におすすめです。

犬に与えるヤギミルクの適量は?

犬にヤギミルクを与える際の適量は下記になっています。(粉末・液体それぞれ)

実際に与える際は、それぞれのメーカーが推奨している適量も参考にしつつ、愛犬の健康状態もみながらあげてください。

  • 超小型犬(~約3kg) 小さじ0.5+水100~200cc
  • 小型犬(~約10kg) 小さじ1+水200~350cc
  • 中型犬(~25kg) 小さじ2.5+水300~450cc
  • 大型犬(25kg~) 小さじ3+水400~600cc

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犬にヤギミルクを与える際の注意点3つ

1.適量を守ることが大切

犬にヤギミルクを与える際は、適量を守ることが非常に重要です。

ヤギミルクは犬にとって栄養豊富で消化しやすい飲み物であり、これまで説明した通り多くの健康上の利点があります。

しかし、過剰に与えるとカロリー過多により肥満を引き起こす要因になってしまうことも考えられます。特に体重管理が必要な犬や運動量が少ない犬には、ヤギミルクの量を調整する必要があります。

消化に良いヤギミルクですが、過剰摂取してしまうと、消化不良や胃腸の不調を引き起こすこともあるため、やはり犬の体重や活動量に応じた量を与えることが求められます。

適量を守ることで、ヤギミルクの健康効果、犬にとってのメリットを最大限に活かしつつ、愛犬の安全で健康的な食生活を提供することができます。

2.徐々に与える

犬にヤギミルクを与えるのが初めての場合には、少量から始めましょう。

消化器系は新しい食材に敏感であり、急に多量を与えると犬の消化器系に負担がかかることがあります。最初は少量を与え、その後、犬の反応を観察しながら徐々に量を増やしていくことが推奨されます。

これにより、犬の体が徐々にヤギミルクに慣れ、消化不良やアレルギー反応のリスクを最小限に抑えることができます。

特に、過去に食物アレルギーを経験したことがある犬には慎重に与えることが必要です。犬の便や調子を観察しながら、無理なく量を調整していくことが健康維持の鍵となります。

異常が見られた場合はすぐに中止し、獣医師に相談してください。

3.獣医師に相談する

犬にヤギミルクを与える前に、獣医師に相談することが大切です。

特に既往症(今は治っているが以前かかったことのある病気等)がある犬や特別な食事制限を受けている犬には、ヤギミルクが適していない場合もあります。

かかりつけの獣医師であれば、その犬の健康状態や体質を把握しているため、適切なアドバイスをもらえるので確実です。

また、現在犬が何らかの病気やアレルギーを持っている場合も、ヤギミルクが悪影響を及ぼす可能性もあるため、事前に確認することが不可欠です。

犬の健康を最優先に考えた適切な選択のためにも一度獣医師に相談しましょう。

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フレーバーの1つである「ヤギミルク」には、犬猫が好む良い香りをしたヤギミルクを贅沢に配合しています。食いつきが良いという声も多数あります。

また、低塩分・低カロリー・余計な添加物不使用で安全性に配慮しているため、日々の愛犬の食事に健康的にヤギミルクを取り入れたい方におすすめです。

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犬にヤギミルクを与える際によくある質問5つ

Q. 腎臓病の犬にヤギミルクをあげても大丈夫?

腎臓病の犬にヤギミルクを与えることは、慎重に検討する必要があります。

腎臓病の犬は特定の栄養管理が必要であり、ヤギミルクのリンやナトリウムといったミネラル含有量が腎臓に負担をかける可能性があります。

腎臓病すべての犬にダメというわけではなく、腎臓病の進行度や犬の個体差によって、適量や適時の判断が異なるということです。

専門家の指導のもとであれば、腎臓病であっても適切な量を管理することで、ヤギミルクのメリットを享受できることもありますので、一度かかりつけの獣医師に相談してみましょう。

Q. 尿路結石の犬にヤギミルクをあげても大丈夫?

尿路結石を持つ犬にヤギミルクを与えることは、一般的に推奨はされていません。

尿路結石の主な原因は、尿中のミネラルや結晶の過剰な濃縮によるもので、ヤギミルクにはカルシウムやリンなどが含まれており、これらが結石の形成を促進する可能性があります。

特に、シュウ酸カルシウム結石を形成しやすい犬には、カルシウムの過剰摂取がリスクを高める可能性があるため、ヤギミルクの摂取は控えた方が良い場合があります。

また、尿路結石の治療中や予防のためには、特別な食事療法が必要なことが多いため、獣医師の指導の下で適切な食事を選択することが重要です。

ヤギミルクを与える前に、獣医師と相談して、犬の健康状態に適した食事管理を行うようにしましょう。

Q. 子犬にヤギミルクをあげても大丈夫?

子犬にヤギミルクを与えること自体には、適量であれば問題ありません。

離乳期からヤギミルクを与えることで、母乳から固形食への移行をスムーズに行えることがメリットです。

また、ヤギミルクは子犬に必要な栄養素が豊富に含まれており、健康な成長をサポートします。

しかし、母犬のミルクとは栄養バランスが異なるため、ヤギミルクだけで子犬の栄養を補うことは難しいです。成長期の子犬には、母犬のミルクに含まれる特定の栄養素、特に免疫をサポートする抗体や適切なカルシウムとリンのバランスが重要になります。

ヤギミルクを与える場合は、補助的な役割として考え、必要に応じて子犬専用のミルクや栄養サプリメントを併用することが望ましいです。

また、子犬の成長と発達を支えるために、専門家のアドバイスを受けながら最適な栄養計画を立てることが推奨されます。

Q. 老犬にヤギミルクをあげても大丈夫?

老犬にヤギミルクを与えることは基本的には安全ですが、個々の健康状態に応じた適切な判断が必要です。

ヤギミルクは、消化が良く栄養価が高いため、食欲が低下している老犬や、消化器系が弱くなっている犬にとって良い選択肢となることがあります。

しかし、老犬は腎臓機能の低下や尿路結石のリスクが高まるため、ヤギミルクに含まれるカルシウムやリンが問題となる場合もあります。

老犬にヤギミルクを与える際には、少量から始め、様子を見ながら与えることが重要です。

何も口にしてくれない老犬がヤギミルクだけは飲んでくれて、約1年間それだけで最期までがんばった犬もいました。

一例ですので参考にはなりませんが、ヤギミルクを与えることで得られるメリットとデメリットを照らし合わせ、それでも飲ませたほうがいいという判断を獣医師がすることもあります。

Q. ヤギミルクではなく、牛乳を犬にあげても大丈夫?

牛乳を犬に与えることについては、注意が必要です。

多くの犬は乳糖不耐症を持っており、牛乳に含まれる乳糖を適切に消化できないことがあります。その結果、下痢や胃腸の不調を引き起こすことがあるため、牛乳は一般的に犬に与えるべきではないとされています。

一方、ヤギミルクは乳糖の含有量が比較的少なく、消化がしやすいため、犬にとってはより安全な選択肢と考えられます。

ただし、ヤギミルクにも乳糖が含まれているため、少量から与えて犬の反応を確認することが重要です。

また、牛乳を与えることで必要な栄養を摂取させるよりも、犬専用のミルクや栄養補助食品を選ぶ方が、より適切で健康的な選択となります。

牛乳を与える前に、犬の健康状態や個別の消化能力を考慮し、必要ならば獣医師に相談することをお勧めします。

まとめ

ヤギミルクは犬にとって多くの健康効果をもたらし、消化が容易で栄養価が高いことから、多くの飼い主に支持されています。

豊富なタンパク質やビタミン、ミネラルにより、成長期の子犬や老犬、体調不良の犬にとって有益です。

しかし、適切な量を守り、アレルギーや消化不良のリスクを考慮することが重要です。ヤギミルクを与える際には、なるべく獣医師に相談し、愛犬の健康状態に合わせた適切な方法で与えることが望ましいです。

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著者情報 | 獣医師監修

◆獣医師ニノマユ
獣医師免許を取得後、都内動物病院にて小動物臨床に従事。その後はペット損保会社にて保険査定や犬猫~エキゾチックアニマルまでの健康相談業務などを担当しておりました。現在は、動物業界の課題について広く視野を持ちたいという想いでweb業界にて働いています。大学時代は動物行動管理学研究室に所属。一番好きなのは羊で繁殖~出荷を経験しました。

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