「猫に水を飲ませたいのに、なかなか水を飲んでくれない」と心配になる飼い主様は少なくありません。 この記事では、猫が水をあまり飲まない理由を整理したうえで、今日から無理なく試せる工夫と、食事から水分を摂る考え方をわかりやすくまとめます。 ぜひ最後までお読みいただき、愛猫に合う続けられる方法を見つけるヒントにしてください。
猫が水を飲んでくれず心配になる飼い主さんへ

まず知っておいてほしいのは、水をあまり飲まない猫はめずらしくないこと、そして水分補給は「水だけ」で頑張らなくても良いことです。
ここでは、飼い主に知っておいてほしい基本と、最初に確認してほしいポイントを整理します。
水を飲まないのは珍しいことではない
猫は犬のように、目に見えてたくさん水を飲むとは限りません。
水皿が減っていなくても、ウェットフードなどから水分を摂れていることがあります。
そのため、「飲まない=異常」と決めつける必要はありません。まずはよくあることとして受け止めたうえで、愛猫のいつもと比べてどうかを見ていきましょう。
まずは落ち着いて確認してほしいこと
不安なときは、水の量よりも「体のサイン」を先に見てください。
- 元気と食欲は普段通りか
- おしっこの回数や量が急に減っていないか
- トイレで痛そうにしていないか、血尿がないか
- 嘔吐が増えていないか
このあたりがいつも通りなら、次のセクションで紹介する工夫を少しずつ試していく方針で大丈夫です。反対に、気になる変化があるときは、早めに動物病院へ相談してください。
猫が水を飲まない主な理由

猫が水を飲まない理由はひとつではありません。猫の習性の影響もあれば、水や器、置き場所が合っていないこともあります。年齢や体調が関係している場合もあるため、まずは原因を整理してみましょう。
猫の習性によるもの
猫の場合、水皿があまり減らなくても、実は少しずつ飲んでいるということがあります。 もともと砂漠のような乾いた環境で暮らしてきた動物の名残があり、飲む回数や量には個体差が出やすいです。
飲んでいるのに見逃すことも
猫は少しずつ飲む習性があります。飼い主様が見ていない時間に飲んでいることもあるため、水皿の減りだけで全く飲んでいないと判断するのは違うかもしれません。
水や器、置き場所の問題
猫は水や器のにおい、器の形、置き場所の落ち着きやすさに敏感です。気に入らないと、水があっても飲んでくれないことがあります。
ポイント
よくある猫の「気に入らない」要素
- 水のにおいが気になる(塩素、器のにおい)
- 器の縁にひげが当たる
- 器が深すぎる/狭い
- 置き場所が騒がしい、落ち着かない
体調や年齢が影響している場合
猫が急に水を飲まなくなったり、元気や食欲も落ちたりしているときは、体調の影響を疑いましょう。
歯や口の痛みがあると、飲む回数が減ることがあります。
腎臓や尿路の病気は水をよく飲む印象があるかもしれませんが、状態によっては食欲低下や吐き気で水分摂取が減ることもあります。
高齢猫では、筋力低下や関節の痛みで水飲み場へ行く回数が減りがちです。
注意点
- 半日〜1日で急に様子が変わった
- 食欲が落ちた/吐く回数が増えた
- トイレで痛そう、何度も行くのに少量、血尿がある
今日からできる、水を飲ませるための工夫

猫に水を飲ませたいときは、「飲ませる」よりも「飲みやすい状況を増やす」という考え方が合います。
猫は小さな違いで行動が変わることがあるため、1つずつ試して、反応がよかったものを残すのがおすすめです。
ここでは、今日から始めやすい工夫を順番に紹介します。
水飲み場の数と置き場所を見直す
水飲み場は1か所だけより、複数あるほうが猫が飲むきっかけが増えます。猫がよく通る場所や、落ち着ける場所に分けて置くのがポイントです。
ポイント
置き場所の考え方
- トイレの近くは避ける
- 人の通り道ど真ん中は避ける
- 寝床の近くや静かな場所にも1つ置く
- 多頭飼いなら猫同士がぶつからない距離に置く
器や素材を変えてみる
器の好みは猫によって違います。とくに、ひげが当たりやすい器は嫌がることがあるため、形を変えるだけで飲む量が増えることもあります。
素材のにおいが気になる猫もいるので、いくつか試すと良いかもしれません。
ポイント
試しやすい器の特徴
- 浅めで広い器(ひげが当たりにくい)
- 陶器やガラスなどにおいがつきにくい素材
- 器の縁が高すぎないもの
水の温度・鮮度を意識する
猫は水のにおいに敏感です。水を替える回数を増やすだけで飲みやすくなることがあります。
とくに夏場は水がすぐぬるくなるので、こまめに替えるのがおすすめです。冬は冷たすぎる水を嫌がる猫もいるため、室温に近い水のほうが飲みやすいこともあります。
器や場所を増やす前に、朝と夜に水を替えるだけでも変化が出る猫がいます。
難しい工夫より、簡単で続けやすいことから始めてみましょう。
循環式給水器を使う選択肢
流れる水を好む猫には、循環式給水器が合うことがあります。
動く水に興味を持って、飲む回数が増える猫もいます。器や置き場所を変えても反応が薄いときは、選択肢のひとつとして考えてみても良いでしょう。
注意点
循環式給水器を使うときに気をつけたいこと
- フィルターや本体は定期的に洗う
- 音が苦手な猫もいるため、最初は猫が落ち着ける場所に置く
- いきなり給水器だけにせず、水皿も並行して置く
水を飲まない猫には「食事から水分を摂る」考え方も

猫に水を飲ませたいとき、食事の工夫で水分を補えることがあります。
とくにドライフード中心の猫は、食事から入る水分が少ないため、飲み水だけで充分な水分を補うのが難しいケースもあります。
ここでは、猫が水分を食べながら摂る方法を紹介します。
ウェットフードやスープの活用
ウェットフードは水分を多く含むため、水分補給の助けになります。いきなり全量を切り替えるのが難しければ、まずは1日1回だけウェットにする、ドライに少量のスープを足すなど、無理のない形から始めると続けやすいです。
ポイント
取り入れやすい方法
- ドライの一部をウェットに置き換える
- ウェットに少量のぬるま湯を足してスープのようにする
- 香りが立ちやすい温度を試す
注意点
急な変更はお腹がびっくりすることも
急に食事内容を変えると、下痢や嘔吐が出る猫もいます。切り替えるときは、量を少しずつ増やして様子を見てください。
ゼリータイプなど「食べる水分補給」
ゼリーやとろみのあるタイプは、舐める・食べる動きで水分を摂ることができます。 そのため、水を皿で飲むのが得意ではない猫の選択肢になります。
▼ゼリー状で水分を摂れるアイテムもあります!
たとえば、のこと。マルシェで扱っている犬猫用手作りゼリーの素「Gelletta®(ジュレッタ)」のように、水分を“食べる形”で補える製品も選択肢のひとつです。
水を飲む工夫で手応えがないときは、こうした“食べる水分”を取り入れる方法も検討してみてください。
与える際の注意点
食事からとる水分補給は便利ですが、どんな猫にも同じ形が合うわけではありません。体調や食事制限がある猫は、獣医師に相談しながら進めていきましょう。
注意点
- 初めてのものは少量から始め、便や吐き戻しを確認する
- 持病がある猫(腎臓病、尿路疾患、心臓病など)は、食事内容の変更を自己判断で進めない
- 「これだけで大丈夫」とせず、水飲みの工夫も並行して続ける
ゼリーが好きな猫もいれば、スープ状のほうが食べやすい猫もいます。愛猫が受け入れやすい形を探すつもりで試してみてください。
それでも飲まないときに注意したいサイン

工夫を続けても水を飲んでくれないときは、猫の体調の変化が隠れていないか確認しましょう。猫は具合が悪くても我慢しやすく、目立った症状が見えにくいことがあります。
ここでは、脱水が疑われるサインと、受診を検討したほうがよいケースを紹介します。
脱水が疑われる症状
脱水は、はじめは気づきにくいです。次のような変化がないか、普段と比べて確認しましょう。
脱水のサインの例
- 口の中が乾いている、よだれが増えた
- 目がくぼんで見える
- 便が硬い、出にくい
- 尿の量が減った
- 元気がない、寝ている時間が増えた
- 食欲が落ちた
猫は体格や年齢でも見え方が変わります。ひとつの確認方法として参考にしてください。
※脱水が疑われる場合は、皮膚の戻りや粘膜の状態などで確認する方法もありますが、自己判断が難しいこともあるため、不安があれば動物病院での評価をおすすめします。
受診を検討したほうがよいケース
猫が水を飲まないだけでなく、ほかの症状が重なるときは早めに動物病院へ相談しましょう。特に尿路トラブルは急に悪化することがあり、注意が必要です。
早めに相談したいケース
- 半日〜1日で急に元気や食欲が落ちた
- 嘔吐が続く、または回数が増えた
- トイレに何度も行くのに尿が少ない
- 血尿がある
- 尿が出ない
「いつもと違う」がはっきりしているときは、様子見より相談が安心です。
まとめ|「飲ませなきゃ」より「続けられる方法」を
愛猫が水を飲まないと、「猫に水を飲ませたい」「このままで大丈夫かな」と不安になりますよね。
ただ、水分補給は水だけで頑張る必要はありません。水飲み場や器を工夫したり、食事から水分を摂ったりしながら、愛猫に合う方法を少しずつ見つけていきましょう。
猫に合った方法を見つけることが大切
猫に水を飲ませたい場合、正解はひとつではありません。うまくいった方法を続けて、合わなかったものは無理に続けないことも大切です。
ポイント
- 水飲み場を増やし、落ち着ける場所に置く
- 器の形や素材を変えてみる
- 水の鮮度や温度を意識する
- 水を飲みにくい猫は、食事から水分を摂る方法も検討する
すべてを完璧に行う必要はありません。飼い主様の負担のない範囲で、できることから試してみましょう。
不安な場合は獣医師に相談を
いつもと違う様子など、元気・食欲・排尿に関して気になる変化があるときは早めに動物病院を受診しましょう。気になる症状が続くときは、ひとりで悩まずに、まずはかかりつけの動物病院へご相談ください。
そのうえで、日々のケアの一つとして、フードやおやつも上手に活用していただければ幸いです。
「猫に水を飲ませたい」と感じたときは、焦らず、愛猫に合った方法を少しずつ探していきましょう。
著者情報 | 獣医師監修







